年5日の年休取得義務化と押さえておきたい個別事例

Posted on 2021/01/04

 2019年4月より、年10日以上の年次有給休暇(以下、「年休」という)が付与される従業員に対して、付与された年休の日数のうち年5日について、会社が時季を指定するなどして取得させることが義務となりました。ここでは、年5日の年休取得義務の対象者と、年5日の年休取得義務への対応において迷いやすい事例をとり上げます。

1. 年休取得義務の対象者

 年5日の年休取得義務の対象者とは、年10日以上の年休が付与される従業員を指しています。そのため、所定労働日数が少ないパートタイマーなど付与日数が10日未満の場合には、年5日の年休取得義務の対象者にはなりません。なお、週所定労働日数が3日以上の場合には、勤続年数によっては10日以上の年休が付与され、取得義務の対象となりますので、注意が必要です。

2. 年休取得義務において対応に迷う事例

 年10日以上の年休を付与したものの、基準日以降、従業員が私傷病により長期にわたり休職しているような事例では、年休を取得できる期間が短く、実質的に取得させることが困難な事例も生じます。厚生労働省では、以下のように具体的な事例について考え方を示しています。

  • 私傷病により休職している従業員
     基準日から1年間、一度も復帰しなかった場合など会社にとって、年休取義務の履行が不可能な場合には、法違反を問うものではないとされています。
  • 年度の途中に育児休業から復帰した従業員
     年度の途中に復帰した場合でも年5日の取得の義務があります。ただし、残りの期間の労働日が、時季指定すべき年休の残日数より少なく、5日の年休を取得させることが不可能な場合はこの限りではありません。例えば、年度の途中に復帰したものの、次の年度までの残りの期間の労働日数が3日しかないような場合、5日の年休を取得することはできないことから、3日の取得に止まったとしても法違反は問われません。
  • 突然の退職により、退職日までにすべての指定付与日が到来しない場合
     年休の付与日を指定し、付与した日が到来する前に退職する場合であっても、従業員の意見を聞いた上で退職日までに5日の年休を取得させることが原則です。ただし、突然の退職により取得できなかった場合、労働基準監督署の調査等では、個別の事情を踏まえた上で、事業主に丁寧に助言等を行うこととしています。

 

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止に伴う休業や在宅勤務により、年休の取得率が下がっていたり、長期休業により年休を取得させる労働日がなかったりという事案も発生しているようです。年休管理簿で取得状況を確認し、年5日の取得が進んでいない場合は、取得に向けた取組みを進めましょう。

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