長時間労働が疑われる事業場への監督指導結果(2020年度)

Posted on 2021/10/01

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 先月、厚生労働省より「令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況」の集計結果(以下、「集計結果」という)が発表されました。個別労働紛争解決制度とは、個々の労働者と事業主との間の労働関係に関する紛争について実情に即した迅速かつ適正な解決を図るためのものであり、具体的には、都道府県労働局内や労働基準監督署内に設置された総合労働相談コーナーでの総合労働相談、都道府県労働局長の助言・指導制度、紛争調整委員会のあっせん制度の3つの仕組みがあります。

[1]法違反の状況

 今回の監督指導の結果は、2020年4月から2021年3月までに、長時間労働が疑われる事業所に対し、労働基準監督署が行った監督指導の実施結果を取りまとめたものです。前年度に実施した監督指導の結果との比較は、下表のとおりです。
 監督指導が実施された事業場のうち、労働基準法などの法令違反があった割合は、78.1%(2019年度)から73.2%(2020年度)に減少しました。なお、主な違反内容のうち、一番割合が多い「違法な時間外労働があったもの」とは、労働基準法第32条違反として、36協定なく時間外労働を行わせていること、36協定で定める限度時間を超えて時間外労働を行わせていることにより違法な時間外労働があったもの、時間外労働の上限規制が守られていないことなどが該当します。

[2]監督指導事例

 公表された監督指導結果の中では、監督指導事例が紹介されています。例えば、各種情報から時間外・休日労働時間数が1ヶ月当たり80時間を超えていると考えられる中小企業の事業場に対し、立入調査が実施されたビルメンテナンス業の事例として、以下のような事例が示されています。

[立入調査で把握した事実]
 労働者5名について、1ヶ月100時間を超える時間外・休日労働(最長:月約190時間)が認められた。36協定を確認したところ、締結当事者である労働者代表を会社が指名しており、民主的な手続により選出されていなかった。
[労働基準監督署の対応]
 ・36協定の締結当事者の要件を満たさず、36協定が無効であるにもかかわらず、時間外労働を行わせたことについて是正勧告(労働基準法第32条違反)
 ・時間外・休日労働を月80時間以内とするための具体的な方策を検討・実施するよう指導
[立入調査で把握した事実]
 年次有給休暇が10日以上付与される労働者に対し、1年以内に5日間以上の年次有給休暇を、時季を指定して取得させていなかった。
[労働基準監督署の対応]
 年5日以上の年次有給休暇を取得させていないことについて是正勧告(労働基準法第39条第7項違反)

 

 年5日以上の年次有給休暇の取得については、取得しなければならない期限間近で従業員がやむなく取得するようなケースも見受けられます。業務のやり方や分担を見直すなどの取組みを呼びかけたり、現場の管理者へ働きかけを行ったりなどして、計画的に年次有給休暇が取得できるように進めたいものです。

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