Posted on 2020/05/22
新卒採用を行う際、求人票やホームページの採用サイトに初任給(基本給額)を記載しますが、賃金額が他社と比較して、見劣りすることによって求人の応募がなかったり、採用面接の段階で辞退されたりするケースが増えています。新卒採用において、初任給は企業選択の大きな指標となることから、その相場は意識しておきたいところです。そこで、今回は昨年、厚生労働省が公表した令和元年の「賃金構造基本統計調査(初任給)」の結果を確認しておきましょう。
[1]令和元年の学歴別初任給
この調査は、10人以上の常用労働者を雇用する民間の事業所を対象に行われたものです。有効回答を得た事業所の中で新規学卒者を採用した15,349事業所のうち、初任給が確定している14,942事業所について集計しています。
学歴別の初任給をみてみると、すべての学歴で前年を上回っています。また、大学卒の初任給の推移(男女計)を確認すると、下図のとおり、平成26年に20万円を突破し、過去6年連続で前年を上回っている状況があります。特に採用難が深刻化した平成28年から平成29年にかけて大幅に引き上がり、さらに平成30年から令和元年についても大幅に引き上がっていることから、今後、どのような推移があるか注視しておきたいものです。また高校卒の初任給の推移についても同じような傾向がみられます。
- 男女計
大学卒 210,200円(対前年比1.7%増)
高校卒 167,400円(対前年比1.4%増) - 男性
大学卒 212,800円(対前年比1.3%増)
高校卒 168,900円(対前年比1.4%増) - 女性
大学卒 206,900円(対前年比2.1%増)
高校卒 164,600円(対前年比1.4%増)
[2]令和元年の企業規模別初任給
企業規模別でみたときの令和元年の初任給は以下の通りであり、すべての企業規模において前年を上回った初任給となりました。
-
- 大学卒
大企業 213,100円(対前年比1.2%増)
中企業 208,600円(対前年比2.2%増)
小企業 203,900円(対前年比2.0%増) - 高校卒
大企業 168,500円(対前年比1.2%増)
中企業 166,100円(対前年比1.3%増)
小企業 168,600円(対前年比2.1%増)
全体として初任給が前年を上回る状況は、最低賃金の上昇に伴う全体的な賃金水準の引き上げや、人材確保のため、他社より有利な賃金額とすることなどが背景にあると想像されます。採用時における賃金額の参考にするほか、採用予定がない会社も含め、賃金面で既存人材が流出することのないよう、初任給の相場を意識しながら、企業全体の賃金水準を定期的に確認するとよいでしょう。
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