健康診断実施後に会社が行うべき対応

Posted on 2020/04/17

 会社は、原則として従業員に年1回の定期健康診断を実施することが労働安全衛生法で義務付けられています。健康診断の実施後には、対応すべき事後措置が定められていますが、その実施が十分でないケースも多くみられます。そこで今回は、定期健康診断の実施後の流れと会社が対応すべきことについてみていきましょう。

 

[1]健康診断実施後の流れ

 定期健康診断を実施すると、通常、健康診断の結果通知が会社へ送られてきます。会社は、この健康診断の結果を受診者全員に文書で通知する義務があります。結果の中で、異常の所見があると診断された従業員(以下、「有所見者」)については、健診日から3ヶ月以内に、会社が医師等から健康を維持するのに必要な措置を意見聴取することが義務付けられています。
 ここで医師等が「就業上の措置の必要があると認める」とした従業員には、会社は医師の意見を踏まえ、その従業員の健康状態を考慮し、次の3つの就業区分に従って就業上の措置を講じることのほか、医師等の意見を衛生委員会等へ報告すること等の対応が求められます。

  1. 通常勤務(通常の勤務が可能)
     就業上の措置を講じる必要なし
  2. 就業制限(条件付きの勤務が必要であるもの)
     勤務による負荷を軽減するため、労働時間の短縮、出張回数の制限、時間外労働の制限、労働負荷の制限、作業の転換、就業場所の変更、深夜業の回数の減少、昼間勤務への転換等必要に応じて適切な措置を講ずる
  3. 要休業(勤務を休む必要のあるもの)
     療養のため、休暇、休職等により一定期間勤務させないといった措置を講ずる

 

[2]医師の意見聴取の実施状況

 健康診断実施後は医師の意見聴取の実施が求められますが、「平成24年労働者健康状況調査」によると、有所見者が年々増加する一方で、意見聴取を実施している事業所の割合は3割にとどまっており、特に企業規模が小さくなるほど、実施割合は低くなっています。健康診断は実施することも重要ですが、結果に応じて従業員の健康を守る措置を取ることが、長く健康で働き続けてもらうことのポイントとなります。
 なお、この医師の意見聴取は、労働基準監督署の調査において、是正勧告が行われるケースがあります。いま一度、確認しておきましょう。

 以上のほか、常時50人以上の従業員を使用している事業所では、健康診断実施後、遅滞なく「定期健康診断結果報告書」を所轄の労働基準監督署に提出しなければなりません。就業規則と同様、事業所単位で提出が必要です。こちらも忘れずに、健康診断実施後は届出をしておきましょう。

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