誤りやすい割増賃金の基礎となる賃金

Posted on 2019/11/08

   会社は、従業員に時間外労働、休日労働、深夜労働を行わせた場合には、割増賃金を支払わなければなりません。割増賃金計算の基礎となる賃金は、原則として所定労働時間の労働に対して支払われる「1時間当たりの賃金額」であり、これは基本給だけではなく、すべての手当等を含んで算出しますが、例外的に割増賃金の基礎となる賃金から除外できる手当が定められています。

[1]割増賃金の基礎となる賃金から除外できるもの

   割増賃金の基礎となる賃金から除外できるものは以下の1~7が限定列挙されています。

    1. 家族手当
    2. 通勤手当
    3. 別居手当
    4. 子女教育手当
    5. 住宅手当
    6. 臨時に支払われた賃金
    7. 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

[2]除外できる手当の具体的範囲について

   [1]の1~5については、手当の名称ではなく、その内容によって割増賃金の基礎となる賃金から除外できるかを判断します。判断において勘違いしやすいこともあり、厚生労働省は家族手当、通勤手当および住宅手当について具体的な範囲を示しています。例えば住宅手当の場合、「住宅に要する費用に応じて算定される手当」は除外できるとし、以下の具体例が示されています。

【除外できる例】
住宅に要する費用に定率を乗じた額を支給するもので、例えば賃貸住宅居住者には家賃の一定割合、持ち家居住者にはローン月額の一定割合を支給する場合。
【除外できない例】
住宅の形態ごとに一律で支給するもので、例えば賃貸住宅居住者には2万円、持ち家居住者には1万円を支給する場合。

 

   除外できる手当は、労働と直接的な関係が薄く、個人的事情に基づいて支給されていることなどによるものですが、決まった額を一律で支給するような場合は除外することができません。特に今回とり上げた住宅手当については、住宅に要する費用に関わらず、一律支給の形(世帯主であれば一律2万円など)をとる企業も見られますので、割増賃金が正しく算定されているか、今一度確認しておきたいところです。

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