育児短時間勤務制度における実務上の留意点

Posted on 2020/07/10

 従業員に子どもが生まれたときや従業員が育児休業から職場復帰する際、育児短時間勤務を選択するケースがあります。そこで、育児短時間勤務制度にまつわるよくある質問をとり上げます。

1.育児短時間勤務制度における勤務時間数

 育児・介護休業法では事業主が講ずべき措置の一つとして、「所定労働時間の短縮措置」が定められており、この短縮措置が育児短時間勤務制度です。育児短時間勤務制度では、3歳に満たない子どもを養育する従業員について、1日の所定労働時間を原則として6時間とする制度を導入することが会社に義務付けられています。
 この勤務時間数について、6時間とすることが求められているほか、会社の所定労働時間が7時間45分の場合、5時間45分とする育児短時間勤務制度とすることも認められています。

2.勤務時間の選択

 育児短時間勤務については、1.のとおり、法律で原則6時間とする育児短時間勤務制度を導入することが会社に義務付けられていますが、一方で、従業員から6時間ではなく7時間の育児短時間勤務を希望するケースがあります。
 6時間を選択できることが義務となっているため、その他の時間について対応する義務はありませんが、7時間等、6時間以外の時間数を選択できる制度を導入することにより、必要な人材が確保できるなどのメリットが考えられるときには、6時間を選択できることにしつつ、その他の時間を選択できる制度を導入することも考えられます。

3.残業を命じることの可否

 育児短時間勤務者に時間外労働(残業)をさせることについては、育児・介護休業法に定められている所定外労働の制限を押さえておく必要があります。この所定外労働の制限とは、3歳に満たない子を養育する従業員が請求した場合、事業の正常な運営を妨げる場合を除いて、所定労働時間を超えて労働させてはならないというものです。
 育児短時間勤務の申し出と併せて、所定外労働の制限の請求を行うことができるため、従業員からこの所定外労働の制限の請求があった場合は、短時間労働となっている所定労働時間を超えて残業を命じることはできません。また、この請求がなかったとしても、仕事と育児の両立を図るために短時間勤務をしていることから、本来は残業をさせない運用が望ましく、残業を命じる場合は従業員に確認するなどして残業を命じる流れにすべきでしょう。

 

 育児・介護休業法の改正は近年、頻繁に行われており、2021年1月からは子の看護休暇および介護休暇が時間単位で取得できるようになります。2021年1月までに育児・介護休業規程などの整備も必要になってきますので、忘れずに取りかかりましょう。

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