年休を前倒しで付与した場合に適用できる特例

Posted on 2019/06/07

4月に働き方改革関連法が施行されたことにより、年5日の年次有給休暇(以下、「年休」という)の取得が企業に義務づけられました。これにより企業はこの義務を確実に履行するための年休取得の環境整備が求められるようになりました。今回は、これに関連し、年休を前倒しで付与した場合に適用できる特例について解説します。

 

1.法定の基準日より前に年休を付与する場合の考え方

取得義務化となる年5日の年休は、年10日以上の年休が付与された日から1年以内に取得させる必要があります。例えば、4月1日に入社し、法定の基準日となる10月1日に年休を付与する場合、10月1日から翌年9月30日までの1年間が取得の対象期間となります。一部の企業では、こうした法定の基準日より前に年休を付与することもあります。例えば、入社日である4月1日に10日の年休を付与する場合、4月1日が基準日となり、翌年3月31日までの1年間が取得の対象期間となります。(図1参照)

2.入社年度と翌年度で年休付与日が異なる場合の考え方

入社時は法定の基準日で付与する一方、年休管理の煩雑さを解消するために、翌年度は例えば4月1日など、全社員統一の基準日を設けて、その基準日に前倒しで年休を付与することがあります。この場合、複数の基準日が発生し、図2の上段のように、取得する期間が重複することがあります。原則として、1年目の付与日である10月1日と、2年目の付与日である4月1日から、それぞれ年5日取得させる必要がありますが、このように期間の重複が生じる場合、管理を簡便にするための特例が設けられています。

具体的には図2の下段のように、1年目の付与日である10月1日から、2年目の付与日である4月1日から1年後となる3月31日までの、18ヶ月間に取得が必要となる年5日を比例按分した日数の取得をさせることが認められています。比例按分により取得が必要となる日数を計算する方法は、該当期間の月数を12ヶ月で除し、これに年休の取得が義務化された年5日を乗じた日数であり、今回のケースでは7.5日(18ヶ月÷12ヶ月×5日)となります。この特例を適用する場合、1年目と2年目の各々の取得する期間に5日の年休を取得させていなくても問題ありません。

 

年休の付与日の決め方や管理方法は、企業によって様々です。年5日の年休の取得義務化により、付与日を見直すことにより、管理方法を変更する動きもありますので、どのような方法が自社にあっているかを確認してみましょう。

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