労基署監督指導により支払われた割増賃金支払額は昨年度より大幅減の125億円

Posted on 2019/09/06

先日、厚生労働省より労働基準監督署の監督指導による賃金不払残業の是正結果(2018年度分)が公表されました。これは、全国の労働基準監督署が、賃金不払残業に関する労働者からの申告や各種情報に基づき企業への監督指導を行った結果、2018年度において不払いであった割増賃金が各労働者に支払われたもののうち、その支払額が1企業で合計100万円以上となった事案が取りまとめられたものです。

[1]是正企業数等の概況

是正企業数等の概況をまとめると以下のようになっています。

・是正企業数:1,768企業(前年度比 102企業の減)
   うち1,000万円以上支払った企業数:228企業(前年度比 34企業の減)
・対象労働者数:118,837人(同 89,398人の減)
・支払われた割増賃金の合計額:125億6,381万円(同 320億7,814万円の減)
・支払われた割増賃金の平均額:1企業当たり711万円、労働者1人当たり11万円

労働基準監督署の監督指導を受けて支払われた割増賃金の合計額は2017年度に大幅に増えましたが、2018年度は大幅に減少し、例年同等の水準に落ち着いています。これに対して是正企業数は、2017年度より減少したものの、支払われた割増賃金の合計額の減少幅に比べると是正企業数の減少幅は小さくなっています(下図参照)。過去10年間の状況から見てみても、2018年度の是正企業数は比較的多いことが読み取れます。

[2]労働基準監督署の監督指導事例

労働基準監督署では、監督指導の対象となった企業に対して、定期的にタイムカードの打刻時刻やパソコンのログ記録と実働時間との隔たりがないか確認するなど、賃金不払残業をなくすための様々な取組みを勧めています。以下では、その監督指導事例を一つとり上げます。

【賃金不払残業の状況】

・残業時間の過少申告が常態化しているなど、労働時間管理について不適切な取扱いがあるとの
   労働者からの情報を基に、労基署が立入調査を実施。
・会社は、自己申告(パソコン上で労働者が時間外労働申請を行い、上司が承認)により労働時間管理を行っていたが、自己申告の記録とパソコンのログ記録とのかい離などから、賃金不払残業の疑いが認められたため、労働時間の実態調査を行うよう指導。

【企業が実施した解消策】

・会社は、パソコンのログ記録や労働者からのヒアリングなどを基に労働時間の実態調査を行った
   上で、不払となっていた割増賃金を支払った。
・賃金不払残業の解消のために次の取組を実施した。

1.労働時間の自己申告方法を含む適切な労務管理について記載されたガイドブックを作成し、管理者を含め、全労働者に周知した。

2.労働時間管理上の問題点などについて、労使で定期的に話合いの場をもち、必要な改善を行うこととした。

3.自己申告の記録とパソコンのログ記録との間にかい離があった場合は、上司がその理由を確認する仕組みを導入した。

上記の事例のように、近年、労働基準監督署より自己申告の記録とパソコンのログ記録とのかい離についての指摘が増加しており、その対策が求められています。より厳格な管理が求められる時代となっていますので、賃金不払残業の解消のために、体制面や設備面でできることがあればとり入れ、対策を進めていきましょう。

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