7割で労働基準関係法令違反がみられた労働基準監督署の監督指導

Posted on 2018/09/14

過重労働対策の重要性が高まっており、労働基準監督署においてもその監督指導が積極的に行われています。先日、厚生労働省から長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導の結果が公表されていますので、今回はこの内容をとり上げましょう。

 

1.監督指導の対象

今回の監督指導の結果は、2017年4月から2018年3月までに、長時間労働が疑われる事業場に対し、労働基準監督署が行った監督指導の実施結果を取りまとめたものです。監督指導の対象は、時間外・休日労働時間数が1ヶ月あたり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等の労災請求が行われた事業場で、25,676事業場に対して実施されました。

 

2.法違反の状況

この25,676事業場に対して監督指導を実施した結果、18,061事業場(全体の70.3%)で
労働基準関係法令違反が見られました。主な法令違反は以下のようになっています。

  • 違法な時間外労働があったもの 11,592事業場(全体の45.1%)
  • 賃金不払残業があったもの 1,868事業場(全体の7.3%)
  • 過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの 2,773事業場(全体の10.8%)

全体の45.1%を占めていた違法な時間外労働とは、労働基準法第32条違反のことを言い、具体的には36協定の届出をしないまま時間外労働をさせていたものや、36協定で定める限度時間を超えて時間外労働をさせていたものなどが該当します。

 

3.労働時間の適正な把握に関する指導状況

違法な時間外労働を防止するためには労働時間を適正に把握していくことが必要不可欠ですが、今回の監督指導を実施した事業場のうち、4,499事業場に対して、労働時間の把握が不適正であるため、「労働時間適正把握ガイドライン」に適合するよう指導が行われました。指導の内容を確認すると、始業・終業時刻の確認・記録が2,319事業場ともっとも多く、実態調査の実施(自己申告制を採用している場合)が2,209事業場と続いています。
この実態調査の実施(自己申告制を採用している場合)については、労働時間適正把握ガイドライン4(3)ウ・エを指し、自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているかの実態調査を行い、所要の労働時間を補正したり、自己申告した労働時間を超えて職場に残っている時間について、その理由等を労働者に報告させる場合、その報告が適正に行われているかについて確認することが求められています。

 

働き方改革関連法が成立し、2019年4月より時間外労働の上限規制がスタートします。その前提として、より一層、労働時間を適正に把握することが重要になってきます。
企業としては、「労働時間適正把握ガイドライン」に基づく始業・終業時刻の確認・記録方法を実施し、定期的に実態調査などを行うことで、出退勤の記録と実態が乖離していないかを確認していきましょう。

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