Posted on 2018/02/05
今回は、厚生労働省が公表した「平成29年版過労死等防止対策白書」に注目します。
同白書は過労死等防止対策推進法に基づいて平成28年より毎年報告が行われているもので、今回で2回目の報告となります。医療・福祉に関して特筆すべきは、「業務上疾病」として認められる「仕事によるストレスが関係した精神障害」について、医療業界・福祉業界がともに全業種の中で上位となっていることではないでしょうか。
精神障害に係る平成28年度の労災の請求件数は1,586件で、前年度より71件の増加となりました。うち、支給決定(認定)件数は498件です。
業種別のデータに注目すると、大分類別で請求件数が最も多いのは「医療、福祉」の302件で、全体の19.0%を占めています。中分類別でも最も多いのは「医療、福祉」の「社会保険・社会福祉・介護事業」の167件で全体の10.5%、次いで「医療、福祉」の「医療業」の134件(同8.4%)と、首位・第二位を占める結果となりました。
いずれも、特に女性の件数が多く、「社会保険・社会福祉・介護事業」では167件中118件が、「医療業」では134件中106件が女性労働者からの請求となっています。
支給決定(認定)件数でも、大分類「医療、福祉」は首位「製造業」の91件に次ぐ80件で、中分類においては「社会保険・社会福祉・介護事業」が46件でトップ、次いで「医療業」が32件で第2位でした。
一方で、業務における過重な負荷によって発症した「脳・心臓疾患」に係る平成28年度の労災請求件数は、全体で825件(前年より30件増)、大分類「医療、福祉」は47件で、中分類「社会保険・社会福祉・介護事業」は全業種のうち第6位となる28件、「医療業」は12位で19件でした。
同白書には、労働時間やメンタルヘルス対策の状況、過労死等の状況・分析の他、過労死等の防止対策の実施状況についてまとめられています。
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